クラフトビールをもっと楽しむ上で役に立つ豆知識を小学生でもわかるくらい簡単に解説するこのコーナー!
今回は、もはやみんな雰囲気で使ってるとしか思えないこのワード『コク・キレ』にスポットを当ててみました!
大枠をお伝えするという大義名分のもと、大事な詳細ですら豪快に割愛している部分がございますが悪しからず。
登場人物
ビール博士:ビールに詳しそうなおじいさん。居酒屋のトイレで見かけたソクラテスの名言に心を打たれたことがある。
ビール見習い:好奇心旺盛のクラフトビール好き。ニート→自宅警備員→代表戸締り役というなかなかのクズ。
段取り調整係:話が脱線した時にどこからともなく現れるまとめ役。
「コク・キレ」は雰囲気で使え!でもたまには・・・
博士、ビールを飲む時によく使うコク・キレって一体なんのことですか?自分もたまに雰囲気で使ってますけどぶっちゃけよくわかりません。
お前さん、コクのあるビールと聞いて飲んでみたいか?
そりゃ、コクがあるって聞いてまずそうな印象は受けませんけど・・・。
そう。コクは一般的に濃い深みのある旨味を意味する。手間暇かけて発酵させたものが熟成し、その味に厚みや広がりが備わった時、人はそれをコクがあると言うのだ。
いつになく真面目ですね博士!
フォルムンディッヒカイトォォォォオオ”ッ!!
うわぁ!ビックリした。何すかいきなり!?
Vollmundigkeit(フォルムンディッヒカイト)。ドイツ語で濃醇さを意味する言葉、つまりコクに当たる表現じゃ。ビールの品質を論じる時などによく使われる。ビールで言うところのコクは、飲みごたえ、ボディー感、広がり、深さ、まろやかさ、香りの力強さなどの総合的な強度とも言われておる。
へぇ~結構身近な言葉に置き換えることもできるんですね。
シュナイディッヒカイトォォォオオッ!!(Schneidigkeit)
・・・もしかして今ドイツ語で「キレ」って言いました?
「キレ」とはビールの香りの無垢さ、すっきり感、飲み込んだ後の香味の持続性や消失の速さ、更には口いっぱいに広がった厚みやボディー感からの落差とも表現できるのじゃ。
落差?
この落差が大きく、一瞬であればあるほどメリハリのあるビールとなり、よりシャープなキレを感じられるというわけじゃ。
コクやキレには色々な成分が関わっています。アルコール、糖類、苦味成分、アミノ酸、核酸、有機酸、ポリフェノール、炭酸ガスの量、そしてそれら全ての量バランス、相互作用によってコクとキレを左右しています!
じゃあコクの成分って具体的になんなん?
博士、なんとなく精度が増した言葉でコク・キレを表現できるようにはなったと思うんですけど、もうちょっとインテリっぽく説明できるようになりたいな!
・・・チッ。クラフトビール好きの中にはその知識を振りかざし、排他的にすらなっている連中も散見される。お前もそうなりたいってことか?・・・答えろ!ビールとはなんじゃ?学問か?!あぁ"っ?!脳ミソでビール飲んどんのかうぬらは!
ちょっと落ち着いて下さいよ。いまどき「うぬ」って・・・。決してそういうわけじゃありません自分は・・・。
麦芽由来の成分が多い程、コクは増すと言っても過言ではない。
(普通に教えてくれんのかよ。)そうなんすね!
麦芽を作る際に糖とアミノ酸が反応し、メラノイジンと呼ばれる褐色の成分が発生する。コイツにはキャラメルのような香りと甘味があり、麦芽由来のポリフェノールとコラボし、色、口当たり、ボディー感、収斂味を与え、それらはコクを生成する要素に他ならない。・・・そんなことも知らんのかクズめ。
めっちゃ排他的になってるこの人!!
発酵の度合いによってもコク・キレは変わる!
まだいたのか!何も知らない小僧よ。
わかりやすく排他的になるのやめてもらっていいすか?
ついでに教えてやろう。発酵で作られるアルコール(エチルアルコール)だってコクにはかなり関与している。酵母が活発に活動するほどアルコールが増えるのは前回話した通りじゃが、一方で糖質や窒素成分も消費されてしまうのじゃ。糖質もコクを形成する重要な要素。発酵がよく進んだビールがすっきりでキレがあるのはこのためじゃ。
まずアルコール自体がコクに関与していて・・・でも発酵が進めば糖質などのコクの要素も消費して薄まってしまうってこと?何か難しいーなー。
そんなお前みたいなやつのために開発されたのがこの味覚センサーレオじゃ!!
なんすかこのコピー機みたいな機械?
説明します!人間は食物を口に入れた時、舌にある“味蕾(みらい)”という部分がセンサーの役割をし、料理や飲料から味の信号を感じ取ります。そして、その感じ取った信号をニューロン(神経細胞)を通して、脳で「甘酸っぱい」や「少し苦い」というのを知覚するのです。味覚センサーレオでは、“味蕾(みらい)”の代わりをするセンサー部分で電気信号を測定し、ニューラルネットワーク(人工的な知能の実現)を通して味を定量的な数値データとして出力します。 ニューラルネットワークを用いることにより、コーヒーに砂糖を加えていくと苦味が減ったように感じるなどの、味の相互作用も加味したデータ解析が可能となっています。同時に、従来の味覚センサーでは困難とされていた甘味や旨味の数値化が可能となりました。 ほかにも、味覚センサーレオを用いて算出した5つの味の測定値を使用することにより、「コク」「まろやかさ」「キレ」「余韻」「スッキリ」といった、曖昧な表現についても数値化することができます。 例えば「コク」「まろやかさ」は、5つの味の総合的なバランスで測ることができ、「キレ」「スッキリ」は経時変化を測定したときに後味が残らない状態を測定することで測ることが可能です。
・・・頭がパンクしそう。
二人の研究は続く。
引用先:味博士の研究所 AISSY株式会社 http://aissy.co.jp/ajihakase/blog/
引用先:ビールの科学 渡淳二監修 講談社