ALE INDUSTRIES
address | 3096 E. 10TH STREET OAKLAND, CA |
---|---|
access | Fruitvale Station駅下車徒歩5分(サンフランシスコ空港より車で約35分) |
website | http://www.aleindustries.com/ |
business hours |
月曜~木曜:16:00pm~22:00pm 金曜~土曜:12:00pm~22:00pm 日曜 :12:00pm~21:00pm |
※各SNSではここで紹介しきれなかった写真もいっぱいアップしてますので是非チェックしてみて下さい!
アメリカのクラフトビールの最新情報も随時更新しています!
こんにちは!すっかり日本は春っぽそうですね!
シリコンバレーはすでに初夏の兆し!クラフトビールがよく進みます!
「お前、通年で飲んでんだろ!」って思ったあなた、人の仕事にケチつけるのはやめて頂きたい。
2016年9月29日にサンノゼのThe Tech Museum of Innovationで開催されたイベントで知り合ったモーガンさんのブルワリー、Ale Industries(エールインダストリーズ)に今回は行ってきました!
まず、モーガンさんと遭遇したこの「Geektoberfest 2016」ってイベントが面白いのなんのって。
引用:https://www.facebook.com/TheTechMuseum/
日本でいうところの国立科学博物館みたいな場所が会場で、閉館後にクラフトビールブルワリーがわんさかケグを持って現れ、博物館内でビールフェスタをやっちゃうっていう超面白イベント!
今度またブログでしっかり紹介しますが配られたグラスが実験用のビーカーでした。笑
日本でこれをやろうと思ったらハンコが20個くらい必要な稟議書を各上長に説明しながら持ち回るみたいなことをしないときっと許可は下りないであろうイベント。
しかし、よくよく見ると科学みたいな取っつきにくい分野と、人との距離をクラフトビールで縮め、SNSでイベント写真などがシェアされることによって将来的な来館者の増加、ひいては科学に興味を持つ人達の増加にもつながるというとても素晴らしいイベント。
日本でも是非こんなビールイベントをやって頂きたい。
前置きはこのくらいにし、さっそくモーガンさんの待つエールインダストリーズへ。
いきなりどでかいバレルエージングビール(熟成樽)の樽の山がお出迎えしてくれるエールインダストリーズ(Ale Industries)。
"クラフトビール"と書かれた立て看板など見なくとも一目でここがブルワリーだとわかる。いい匂いもぷんぷんする。
タップハウス内は木の温もりを基調としており、ロッジの中にいるかのようなほっこりした空間になっています。
月産200バレル(23,400リットル)ほどのこのブルワリーはオークランドではとっても人気の高いブルワリーの一つ。
2017年内には300~500バレル(35,100~58,500リットル)にまで増産する計画を持ち、何を隠そうかつて日本へも輸出していた実績のあるブルワリーなんです。
さっそくブルーマスターであり設立者の一人でもあるモーガンさんにお話を聞いてみましょう!
久しぶりだな!遠いところ来てくれてありがとよ!
いえいえ、こちらこそお招きいただきありがとうございます!相変わらずご立派な髭ですね!色々お話聞きたいです。
・・・ビール飲みながら。
はははっ!ありがとよ。改めて色々話せって言われると難しいもんだな。ん~俺がクラフトビールを知ったのはまだ高校生の時だった。近所にホームブリューイングをよくしているおっちゃんがたまたま住んでいてな。その美味しそうな匂いに誘われてよく遊びに行ってたのさ。俺が科学や数学が大好きなのを知ってか知らずか、そのおっちゃんはよくビール造り材料の分量やアルコールの比重の計算なんかを俺にやらせていたよ。
美味しい匂いに誘われて訪れた家でビール造りを習い始めてしまうって時点で、よく考えるとすごい話ですよね。笑
そのおっちゃんはビール造りの裏にある科学をしっかり教えてくれてな。当時の俺はそれが楽しくてたまらなかった。学校で勉強する科学を実際に使えるいい機会でもあったしな。今考えるとこの時期に俺のブルワーへの憧れは生まれていたのかもしれないな。
いい話ですね~。日本は相変わらずアルコール1%以上の飲料を自家醸造しちゃいけないという政府が酒税のとりっぱぐれを防止することしか目的のない時代遅れの法律があります。それほど酒税が政府の税収の大きなウェイトを占めている裏付けでもあるのですが。ほんと邪魔でしかない法律です。
そんなこんなでクラフトビールを知って、ホームブリューイングも続けていた22歳の時、『これを仕事にしなければ。』という衝動に襲われた。クラフトビールに対する興味や情熱のメーターが振り切った瞬間だったと覚えている。そして、ブルワリーでの仕事に就いた。ただ働きで床のブラシかけから始まった仕事だったよ。しばらくするとだんだん周囲から認めてもらえるようになりわずかな給料をもらえるようにまでこぎつけたがな。そこからはとにかく自分をアピールしたよ。結果的に俺は床のブラシかけからケグの消毒、ケグへのビール注入とどんどん仕事を増やし、がむしゃらに走り続け気付いたらブルーマスターにまで登りつめていた。・・・・時給0円のブラシ係からな。
日本の弾劾の世代も顔負けのガッツですね!!モーガンさん凄すぎです!!映画化も出来ちゃいそうな話っすね!いやぁ~伊達に髭も伸ばしてないですねほんとに。
俺は芸術にも科学と同じくらい興味があってな。ビールは芸術と科学の究極の複合品だと思っているくらいだ。なぜなら人はビールを芸術の如く見極めるだけでなく身体に入れるのだからな。どんな芸術作品もビールほど愚直に人間に消費される物はない。
舌で味わえる芸術ってわけですね!タップルーム内をよく見ると確かにすごい数のアートがあちらこちらに飾ってあります!ビール以外基本、目に入らない性格なので全然気づきませんでした。
はははっ!だから芸術家としてはビール造りはやりがいの塊みたいなもんだ!その場で消費者のリアクションが見れるんだからな!これ程最高な気分はないぜ!
いまだにホームブリューで大失敗を繰り返す私には他人のリアクションは恐怖でしかないです。
あとここに来る人には必ず伝えていることがある。それはここで造られるビールはバイオエナジーを使って造られているということだ。
ベジタブルオイルを使ってボイラーを稼働させたり、ブルワリー全体のエネルギーに変換したりしている。さらにそのベジタブルオイルはお客さんからもらっている。ケグを客先に届ける時にそのお店で魚やポテトを揚げた油と廃棄物を根こそぎ頂く。
俺達がバイオエナジーを活用することでお客さんの廃棄量も減る。何より話題の種にもなるから大好評だ!『このビール飲んでみろよ?うちから出た油を使って造られているんだぜ!』ってな。
確かに話題性もあって地球にも優しいし、良いことばっかりですね!カリフォルニアってそうゆうとこ敏感ですよね、なんとなく。
もう一点うちの強みを上げるなら、俺達はホップを適量しか使わない。一切ホップを使わないビールだって造ることもある。ご存知カリフォルニアではホッピーなビールが人気だが、俺達はその風潮に"待った"をかける。ホッピーなビールに造り上げるのは一種の思考停止だとすら考える。
これだけたくさんの副原料が使える環境でホッピーな味に偏らせてしまうのは勿体ないってことですか?
その通り。俺達は常にお客さんに「ビールとは何か」の疑問を投げかけている。更には自分達にも「ビールはどうあるべきなのか」とも常に自問自答している毎日だ。
だからホップをドバッと入れるって選択肢には到底辿り着かないのさ。趣向を凝らすことに重きを置きたい。ただ、勘違いして欲しくないのは俺はホッピーなビールが嫌いなわけじゃない。ぶっちゃけよく飲むしな。チーズなんかと合わせると美味いと正直に思う。
なるほど。"趣向を凝らす。"芸術家ブルワーのモーガンさんには専門分野ですね!そんなモーガンさん、日本のビールは飲んだことありますか?
アメリカでだが飲んだことあるぜ。日本のビールはとてもシンプルでわかりやすい。一つのメッセージがわかりやすく飲み手に伝わるって感じのビールだな。サッポロはモルトの使い方が上手いとも思った。もっと色々な日本のビールを飲んでみたいね。
シンプルなメッセージかぁ~。確かにそうとらえることもできますね!あとこのクラフトビールムーブメントは今後どうなっていくとお考えですか?
競争は熾烈化していくだろうな。しかし、地域密着型の小さなブルワリーの数は増えていくと思う。そのバーで消費される分だけを造るような小規模のブルワリーが増えると言ってもいい。俺はネイバーフッドブルワリー(Neighborhood Brewery)と呼んでいるがな。週末にやっている農家の野菜市の野菜のような感覚にクラフトビールは近付いていくと思うよ。
モーガンさんの観点は面白いですね毎回!スーパーでビールを買う傾向も細まり、ビールはブルワリーより直売になっていくわけですね!目が離せませんね!最後に日本人のお客さんに向けたメッセージをお願いします!
日本人にだけってわけではないが、誰しもクラフトビールに対して常に視野を広く持って欲しいと思う。一つの味わいだけを過度に重視するのも良くない。今飲んでいるビールの味わいを受け入れ、自分の舌で判断すればいい。
ネットで書かれていることなど参考にする必要はない。俺達のビールの中にも高い評価レートをもらっているビールももちろんある。しかし、そのレートの値なんてのは個人差の枠を超えるようなものじゃない。
自分で良し悪しを見分けられる舌作りが何よりも大事なんだ。自分の好きなものが世間の評価と違っても全く気にする必要はない。逆に世間で人気なビールを好きだって全く悪いことじゃない。
あとは評価サイトを気にするような人にもなって欲しくないとも思う。自分の好きなビールにとことん忠実にあって欲しいな!
モーガンさんの言葉、五臓六腑に響きます。本当に私もそう思います。舌の味蕾(みらい)なんて人種や先祖代々培ってきた食文化によって差があるに決まっているのに他人の舌の評価を気にする慣習はいつも見てて不思議に思ってました。ともかく!今日はありがとうございました!
まとめ
たまたまイベントで会って話をしていたら意気投合し、今回お邪魔させて頂いたエールインダストリーズのモーガンさん。時給0円の床掃除からブルーマスターまで登りつめたという情熱大陸から出演オファーがきそうな経歴の持ち主。ホップに頼らず科学を突き詰めて造るモーガンさんのビールはどれも本当に美味しい!そして、ビールに対してもストイックな考えを持ち、お客さんに挑戦する姿勢を常に貫いてきたエールインダストリーズ!是非モーガンさんの造る"飲める芸術作品"をお試しあれ!